八尾市の一般内科・呼吸器内科・小児科・アレルギー科・美容皮膚科・美容内科

早期発見と治療が重症化しないための第一歩です

生活習慣病とは、その名の通り生活習慣が原因で発症する疾患の総称です。不適切な食生活、運動不足、喫煙、過度の飲酒、過剰なストレスなど、好ましくない習慣や環境が積み重なると発症リスクが高まります。がんや脳血管疾患及び心疾患の危険因子となる肥満症、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化症などはいずれも生活習慣病とされています。これらは自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、脳や心臓、血管などにダメージを与えていきます。その結果、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる重篤な疾患を引き起こすことがあります。
生活習慣病は健康診断などの一般的検査によって早期発見が可能です。決して安易に考えず、検査値に異常があったり、少しでも不安を持たれたりする方はお早めの受診をお勧めします。

Lifestyle Disease

高血圧症

日本高血圧学会では上の血圧である収縮期血圧(心臓が収縮したときの血圧)が140mmHg以上、または下の血圧である拡張期血圧(拡張したときの血圧)が90mmHg以上を高血圧としています。そのまま高血圧の状態にしておくと脳や心臓の血管が動脈硬化を起こし、脳卒中や心臓病、腎臓病などの重大な病気を発症する危険性が高まります。日本人の高血圧の約8~9割が本態性高血圧(原因をひとつに定めることのできない高血圧)で、遺伝的素因(体質)や食塩の過剰摂取、肥満などさまざまな要因が組み合わさって発症します。中年以降にみられ、食生活を中心とした生活習慣の改善が予防・治療に非常に大切です。

高血圧症の原因

高血圧症の原因には遺伝的な要因と、食生活をはじめとする生活習慣などの環境的な要因があります。
また、血圧が高い状態が長期間続くと動脈硬化が進行し、血管壁が厚く硬くなって内腔が狭窄し血流が低下します。これに対抗して血液を全身に送ろうとする結果、さらに血圧が上昇するという悪循環も高血圧症の一因です。

遺伝的な要因

高血圧症には遺伝的な側面があります。例えば両親ともに高血圧症の場合は子どもの約50%が、どちらか一方が高血圧症の場合は約30%が高血圧症になるという報告があります。ただし遺伝するのは高血圧の特定遺伝子ではなく、体質が受け継がれると考えられています。また、親子間で食習慣などの生活習慣が似通うことも発症に影響するといわれています。

環境的な要因

過剰な塩分摂取
身体には体内の塩分濃度を一定に維持する機能が備わっています。そのため塩分を過剰に摂取すると、濃度を下げようと体内の水分量が増加して血液量が増え、結果として血圧が上昇します。
カリウムを含む野菜や果物の摂取不足
血液中の余分なナトリウム(塩分を構成する原子)は腎臓から排泄されますが、カリウムが不足しているとナトリウムの排泄が十分に行われません。その結果、血液中の塩分濃度が上昇し、それに伴い血液量も増加して血圧が高くなります。
肥満
脂肪細胞からは血圧を上昇させたり動脈硬化を促進したりする物質が分泌されます。また、インスリン抵抗性の増大によって血中インスリン濃度が上昇し、交感神経が刺激されて血管が収縮します。特に内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)は注意が必要です。血液量は体重に比例するため、肥満は血液量の増加を招き、心臓への負荷も高まります。
過剰飲酒
慢性的な多量飲酒は血圧を上昇させ、中性脂肪を増やして動脈硬化を促進します。アルコールは「百薬の長」ともいわれ、リラックス効果で血圧を下げるイメージがありますが、飲み過ぎると逆の効果をもたらします。適度な量を心がけることが大切です。
精神的ストレス
精神的なストレスを受けると交感神経が活性化し、心臓の収縮力が高まって心拍数が増加し、血液量が増えます。同時に血管の収縮も起こります。
運動不足・喫煙
運動不足は血行を悪化させ、血圧上昇につながります。日常的に長時間座った状態で過ごすことが多い方は、高血圧症のリスクが高まるといえます。
また喫煙については、タバコに含まれるニコチンが交感神経を刺激し、血圧を上昇させるホルモンの分泌を促して血管を収縮させます。さらに血液中の活性酸素が増加することで動脈硬化が進みやすくなります。

高血圧症の症状

初期症状
高血圧症の症状は、動脈硬化がまだ進行していない初期段階では自覚できる明確な症状が現れにくいことが多く、気づきにくい疾患の一つです。そのため、定期的な血圧測定による確認が重要です。
動脈硬化が進んだ時の症状
高血圧が続いて動脈硬化が進行すると、障害を受けた部位に応じてさまざまな症状が現れます。脳血管に動脈硬化が生じると、脱力感や激しい頭痛が出現します。左右いずれかの脳血管が硬化すると、体の片側に運動障害やしびれが生じることがあります。心臓の血管が障害された場合は胸部の締めつけ感が現れ、意識消失に至ることもあります。

高血圧症の治療

高血圧の治療は食事療法・運動療法・薬物療法を三本柱として進めます。
治療目標は血圧を目標値まで低下させることで動脈硬化の進行を抑制し、重症化リスクを軽減することです。目標値は家庭血圧の場合(括弧内は診察室血圧)、75歳未満では125/75mmHg未満(130/80mmHg未満)、75歳以上では135/85mmHg未満(140/90mmHg未満)が目安です。ただし、合併症の有無などによって目標値は変わるため、個別に確認が必要です。

高血圧症を放置するリスク

高血圧を治療せずに放置すると、血管の内壁に常時高い圧力がかかり続けます。血管が損傷を受け、その圧力に対応するために血管壁が厚く硬く変化し、動脈硬化が進行します。高血圧が危険な理由は、まさにこの動脈硬化を促進させることにあります。高血圧と動脈硬化は互いに悪影響を及ぼしながら同時進行する関係にあります。
高血圧を治療する主たる目的は、動脈硬化によって引き起こされる脳疾患・心疾患・腎疾患などの合併症を予防することにあります。

高血圧が引き起こす主な合併症

  • 脳血管障害

    脳内の細小血管が破れて出血する脳出血や、脳血管の閉塞・狭窄によって血流が途絶え脳細胞が部分的に壊死する脳梗塞などが生じます。高血圧に加え、糖尿病や脂質異常症を合併していると、発症リスクがさらに高まります。

  • 心臓病

    高血圧に対応するため心臓が過度な負荷を継続すると、心臓壁が肥厚する心肥大や、心臓のポンプ機能が低下する心不全を来しやすくなります。また、心臓自体に酸素と栄養を供給する冠動脈に動脈硬化が生じると、心筋梗塞や狭心症の発症リスクが高まります。

  • 高血圧性網膜症

    眼底血管からの出血や血管閉塞によって網膜機能に障害が生じ、視力が低下することがあります。

  • 高血圧性腎硬化症・腎不全

    腎臓内の血管に動脈硬化が生じると、血液をろ過して老廃物を取り除く重要な役割を担う「糸球体(しきゅうたい)」への血流が滞り、腎機能の低下を招きます。この病態がさらに進行して悪化すると、最終的に慢性腎不全へと至る深刻なリスクを孕んでいます。

糖尿病

糖尿病とは膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが、十分に働かないために血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他特定の機序・疾患によるものの4つのタイプに分類されていますが、日本人で圧倒的に多く、生活習慣病の一つとされているのが2型糖尿病です。その発症には、インスリンの分泌不足といった要因に加え、過食、運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣が関係しているといわれています。
糖尿病を発症し進行すると、神経障害、網膜症、腎症などさまざまな合併症を引き起こすことがあります。糖尿病を予防するため、あるいは進行を遅らせるために生活習慣を見直すことが大切です。

糖とインスリンの働き

食事から摂取した糖質は消化の過程でブドウ糖へと変換されて吸収されますが、その際、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。腸管を通じて血管内に入ったブドウ糖は、インスリンの働きを受けて速やかに肝臓・筋肉・脂肪組織に取り込まれ利用されるため、通常は食後も血糖値はほとんど変動しません。
体内で血糖値を低下させる仕組みはインスリンのみです。そのため、何らかの理由でインスリンの効果が減弱する(インスリン抵抗性)、あるいは膵臓からのインスリン分泌量が低下する(インスリン分泌不全)と血糖値が上昇し、糖尿病の発症につながります。

インスリンが働かない状態とは?

糖尿病になるとインスリンが十分に働かず、血糖をうまく細胞に取り込めなくなるため、血液中に糖があふれてしまいます。これには、2つの原因があります。

  • インスリン分泌低下:膵臓の機能の低下により、十分なインスリンを作れなくなってしまう状態。細胞のドアを開けるための鍵が不足しているので、糖が中に入れず、血液中にあふれてしまいます。
  • インスリン抵抗性:インスリンは十分な量が作られているけれども、効果を発揮できない状態。運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなります。鍵であるインスリンがたくさんあっても、細胞のドアのたてつけが悪く、開けることができません。この場合も、血液中に糖があふれてしまいます。

糖尿病の症状

糖尿病の代表的な症状としては、以下が挙げられます。
ただし、自覚症状がないまま糖尿病を患っていることに気づいていない方も少なくありません。血糖値がかなり高い水準にならなければ症状が現れないことが、糖尿病の特徴の一つです。

  • 喉が渇きやすい
  • 尿の回数が増えた
  • 意識障害
  • 体重が減る
  • 疲れやすくなる

糖尿病の種類

糖尿病は発症の背景によっていくつかに分類されますが、大別すると「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他の特定の機序・疾患によるもの」「妊娠糖尿病」の4つがあります。

1型糖尿病
1型糖尿病では、膵臓からのインスリン分泌がほぼなくなる(インスリン分泌低下)ことで血糖値が上昇します。生命を維持するために、インスリンを注射によって補充する治療が必須となります。この状態をインスリン依存状態と呼びます。
2型糖尿病
2型糖尿病では、インスリンの分泌が低下したり(インスリン分泌低下)、インスリンの効果が十分に発揮されなくなったり(インスリン抵抗性)することによって血糖値が高くなります。2型糖尿病の発症には、遺伝的な体質に加えて、過食・運動不足・肥満といった生活環境の影響が関与すると考えられています。
その他の特定の機序、疾患によるもの
糖尿病以外の特定の疾患や、使用している薬剤の影響によって血糖値が上昇し、糖尿病を発症することがあります。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見された、糖尿病の診断基準には達していない血糖上昇のことを指します。
糖は赤ちゃんの栄養源となるため、多すぎても少なすぎても発育に影響を与える可能性があります。そのため、お腹の赤ちゃんに十分な栄養を届けながら、きめ細かな血糖コントロールを行うことが求められます。妊娠中は常に赤ちゃんに栄養を供給し続けているため、空腹時の血糖値は非妊娠時と比べて低くなる傾向があります。
一方、胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり、食後の血糖値が上昇しやすい状態になります。
多くの場合、出産後には高血糖は改善しますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来的に糖尿病を発症しやすいとされています。

糖尿病の三大合併症

糖尿病によって細小血管が障害されると、以下のような深刻な合併症が引き起こされることがあります。

  • 糖尿病網膜症

    目の奥にある網膜の血管がダメージを受け、病状が進行すると失明に至る恐れもあります。

  • 糖尿病腎症

    腎臓のろ過機能が次第に低下し、最終的に人工透析治療が必要になる場合があります。

  • 糖尿病神経障害

    手足のしびれや痛み、感覚の鈍麻が起こります。重症化すると足部の潰瘍や壊疽を来すこともあります。

※ これら三大合併症は、糖尿病が未治療のまま高血糖状態が長期間続いた場合に発症します。早期から適切な糖尿病治療を行うことで予防が可能であり、ある程度進行した段階でも適切な血糖管理によって進行を抑制できます。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つを組み合わせて進めます。いずれも無理のない範囲で取り組めるものが多く、日常生活の中に少しずつ取り入れることができます。

食事療法

「糖尿病=厳しい食事制限」というイメージを持たれがちですが、大切なのは栄養バランスの良い食事を適切な量で、規則的な時間帯に摂ることです。
糖分を多く含む清涼飲料水や甘い果物の過剰摂取には注意が必要です。
カロリーや栄養バランスだけでなく、1日3食を決まった時間帯に摂る、就寝3時間前からの間食を控えるといった「食べるタイミング」も重要な管理ポイントです。
肥満がある方の場合は、現体重から3~5%の減量が血糖値の改善につながります。そのためには総摂取カロリーをやや抑えることが必要になります。

運動療法

運動には血糖値を下げるだけでなく、心臓・血管の健康維持や筋力・体力の向上といった多面的な効果があります。持病や関節の問題をお持ちの方は、無理のない運動方法について医師にご相談ください。
ウォーキングだけでなく、掃除や買い物といった日常的な動作を少しでも増やすことがポイントです。また、長時間の座位が代謝に悪影響を与えることがわかっています。デスクワークが長時間続く方も、1時間に一度はこまめに立ち上がったり体を動かしたりすることが大切です。

薬物療法

2型糖尿病では生活習慣の見直しが治療の基盤となります。一方で近年、低血糖を来しにくく体重増加作用がなく(あるいは体重減少効果を持ち)、膵臓のインスリン分泌に負担をかけるのではなく、むしろ膵臓の負担を軽減・保護する多くの種類の糖尿病治療薬が開発されています。これらの一部については、心筋梗塞・脳卒中といった心血管疾患の発症・再発予防や腎不全の進行抑制効果が臨床試験で証明されています。こうした背景から、2型糖尿病では、より早い段階から積極的に薬物療法を開始することが最新の治療方針となっています。

脂質異常症

脂質異常症とは血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が増えたり、「善玉」のHDLコレステロールが減ったりした状態のことをいいます。この状態を放置していると動脈硬化が起こり、ゆっくり進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化性疾患をまねくリスクが高まります。
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。「内臓脂肪型肥満」ではLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。また、遺伝性の「家族性高コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。

脂質異常症の診断基準

基準値(空腹時採血の場合)は以下のとおりであり、いずれかの数値が基準を満たさなくなると脂質異常症と診断されます。

LDL-コレステロール(悪玉) 140mg/dL未満
HDL-コレステロール(善玉) 40mg/dL以上
トリグリセライド(中性脂肪) 150mg/dL未満

悪玉と善玉とは?

コレステロールには「悪玉コレステロール」と「善玉コレステロール」がありますが、もともとのコレステロール自体は同じものであり、その働きによって区別されています。
コレステロールは血液に溶けないため、リポたんぱくというカプセルに包まれた状態で血液中を移動します。このカプセルのうち、肝臓から全身の細胞へコレステロールを運搬するのが「悪玉コレステロール」、反対に全身の血管壁から余剰なコレステロールを回収して肝臓へ戻す役割を担うのが「善玉コレステロール」です。
悪玉が増加すると大量のコレステロールが全身に届けられ、反対に善玉が減少するとコレステロールの回収量が減るため、体内のコレステロール量が増加します。

脂質異常症のタイプと原因

脂質異常症は以下の3つのタイプに分別されます。

  • 高LDLコレステロール血症

    体内の各組織にコレステロールを運ぶ役割を持つLDL(悪玉)コレステロールが過剰に存在する状態で、脂質異常症のなかで最も頻繁に認められるタイプです。

    原因
    動物性脂肪を多く含む食品(肉類や乳製品)やコレステロールが豊富な食品(卵・レバーなど)を摂りすぎている可能性があります。また食べ過ぎによるカロリーの過剰摂取も要因の一つとして挙げられます。
  • 低HDLコレステロール血症

    余分なコレステロールを回収するHDL(善玉)コレステロールが低下した状態で、体内にコレステロールが蓄積しやすくなっています。

    原因
    主な原因として運動不足・肥満・喫煙が考えられます。バランスのとれた食事を心がけながら、生活習慣全体の改善にも積極的に取り組みましょう。
  • 高トリグリセライド血症

    血中の中性脂肪が過剰な状態です。中高年男性に多く見られるタイプであり、中性脂肪が高値になるとLDLコレステロールも増加しやすい傾向があります。

    原因
    過食や飲み過ぎによるカロリーの過剰摂取が原因と考えられます。特にアルコールの過剰摂取は中性脂肪を増加させやすい点に注意が必要です。

脂質異常症の症状

脂質異常症には特徴的な自覚症状がありません。気づかないうちに増加した脂質が全身の血管にダメージを蓄積させて血管の老化が進み、動脈硬化につながります。動脈硬化は血流を悪化させるため、脳卒中や心筋梗塞など生命に関わる疾患の一因となることにも注意が必要です。

脂質異常症の治療

生活習慣の改善

脂質異常症と診断された場合、通常はまず食事療法・運動療法などの生活習慣の改善から取り組みます。
生活習慣を見直すことで、脂質異常症の改善・予防が期待できます。具体的な改善策として以下が挙げられます。

  • 栄養バランスが整った食生活を送る
  • 適度な有酸素運動を習慣的に行う
  • 禁煙・禁酒する

脂質の多い食事を大量に摂取することは脂質異常症のリスクにつながるため、食物繊維を豊富に含む海藻・きのこ・こんにゃく・玄米・雑穀米などを積極的に取り入れることが推奨されます。食物繊維には食後の血中コレステロール値の上昇を抑える働きがあります。
適度な脂質に加え、炭水化物・ミネラル・ビタミンなど多彩な栄養素をバランスよく摂ることで、脂質異常症の改善が期待できます。
また、有酸素運動を継続的に行うことも効果的です。1日30分程度の有酸素運動を週3回以上続けることで血行が改善し、基礎代謝が向上してエネルギー消費量を増やすことができます。

薬物療法

生活習慣の改善を十分に実践してもLDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪の数値が目標に達しない場合、薬物療法を検討することがあります。
また、検査で遺伝性の家族性高コレステロール血症が疑われる場合には、動脈硬化進行のリスクが高いため、最初から薬物療法を行うこともあります。
ただし、薬物療法を開始した後も、生活習慣の改善を継続することが重要です。正しい生活習慣を維持しながら薬物療法を組み合わせることで、より高い治療効果が見込めます。

脂質異常症を放置するリスク

脂質異常症の指標の一つである「LDLコレステロール」は、血管壁へ侵入しやすい性質を持っています。血管壁の内部にLDLコレステロールが過剰に取り込まれることで、プラークと呼ばれる隆起が形成されるきっかけとなります。その結果、血管壁が血液の流れる内腔側に向かって肥厚し、血流の通り道が徐々に狭くなります。
プラークが形成された部位では血管壁の厚みが増してしなやかさが失われ、硬化するため「動脈硬化」と呼ばれます。
動脈硬化が起こった血管は、心臓から送り出される血液の圧力(血圧)を柔軟に受け止める力が低下するため、血管が破裂するリスクが生じます。また血管内膜が損傷を受けた際、修復のために血小板が集積・凝固することがあり、これが「血栓」と呼ばれる状態です。血栓は血流を遮断し、その部位の組織・臓器を壊死させます。
心臓に酸素と栄養を届ける血管(冠動脈)に血栓が形成されると「心筋梗塞」に、脳動脈に形成されると「脳梗塞」となります。心筋梗塞・脳梗塞はいずれも重篤な後遺症をもたらすだけでなく、生命に関わる危険な疾患です。

高尿酸血症

尿酸は血液中に存在する物質ですが、何らかの原因で尿酸が過剰になった状態を高尿酸血症といいます。尿酸は水に溶けにくい性質を持ち、過剰になると針状の結晶(尿酸塩)を形成します。この結晶が関節(特に足の親指の付け根付近)に沈着すると激しい痛みを伴う炎症発作が起こることがあり、これが痛風です。
この痛みは非常に強烈なものですが、発作が起きる前に血液検査で把握することが可能です。血清尿酸値が7.0mg/dL以上と判定された場合に高尿酸血症と診断されますが、この状態はいつ痛風発作が生じてもおかしくない状況です。ただし、発作が出ない方もいます。それでも放置が続くと、痛風結節・尿路結石・腎障害などを合併することがあるため、痛風発作がなくても治療は必要です。

高尿酸血症の原因

尿酸の産生過剰
プリン体を豊富に含む食品の過剰摂取は尿酸の産生過多につながり、高尿酸血症の原因となります。ビールにプリン体が多く含まれることはよく知られていますが、アルコール自体にも尿酸値を上昇させる作用があります。
腎臓からの排泄低下
尿酸は主に腎臓を通じて尿中に排泄されるため、腎機能が低下すると血清尿酸値が上昇しやすくなります。また利尿薬を服用している場合は尿酸の排泄が減少し、尿酸値が高くなりやすいことが知られています。

高尿酸血症の症状

痛風関節炎や尿路結石が生じた際には激烈な症状が現れますが、高尿酸血症自体には自覚症状がありません。
しかし近年、痛風関節炎などを起こさない程度の軽度な尿酸値上昇であっても、慢性腎臓病や心血管疾患の発症との関連性を示唆する研究結果が相次いで報告されています。
こうした背景から、高尿酸血症の早期発見やその予防がさまざまな疾患の予防につながる可能性があります。自覚症状がなくても、定期的な健康診断で血清尿酸値を確認することが重要です。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療には、尿酸値を下げるための治療と、痛風で生じる炎症発作を抑えるための治療があります。
尿酸値を下げる治療では、まず食事内容をはじめとした生活習慣の改善から始めます。食事面では野菜・海藻・きのこ・豆類を積極的に摂取するほか、減塩も心がけます。尿酸の原料であるプリン体を多く含む食品を控え、節酒も取り入れていきます。水分を十分に摂ることも大切で、1日の尿量が2000mL以上になることを目安に水をしっかり飲むことで、体内の尿酸を尿とともに排出できます。
運動も尿酸値低下に有効であるため、日常に取り入れることが勧められます。息が少し弾む程度の有酸素運動(1回30分程度のウォーキングなど)を継続して行うことが目安ですが、過度な無酸素運動は逆効果になることがあるため、運動内容については医師にご相談ください。また生活習慣の改善と並行して、尿酸値を低下させる薬(尿酸生成を抑制する薬・尿酸排泄を促進する薬)を使用することもあります。
なお、痛風による炎症発作の治療は薬物療法が中心で、NSAIDs・ステロイド・コルヒチンなどが用いられます。これらにより疼痛や腫脹が落ち着いた後、尿酸値を下げる治療を開始していきます。

生活習慣病は、心疾患や脳血管疾患を引き起こします

高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を放置すると、自覚症状がないままでも動脈硬化が静かに進行し、心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中・心不全・腎不全(人工透析)・失明といった生命に関わる重大な疾患や、生活の質(QOL)を著しく損なう合併症を引き起こします。症状がないからと軽視せず、早期発見・早期治療と生活習慣の改善が、突然の重篤な発症を防ぐために欠かせません。
自覚症状なく進行する生活習慣病を早期に発見するために、定期的な健康診断の受診をおすすめします。
また、すでに生活習慣病と診断されている方は、重症化を防ぐため、日常の生活習慣を見直すことを心がけましょう。

健康診断について

生活習慣病の予防

毎日の食事と運動は、生活習慣病の予防と健康維持に深く関わっています。栄養バランスのとれた食事と適度な運動を習慣化することで、体の調子を整え、疾患リスクを軽減することができます。

健康を支える食事習慣

バランスのよい食事
主食・主菜・副菜を組み合わせ、栄養素を偏りなく摂取する。とくに野菜を意識的に取り入れる。
塩分の摂取を控える
高血圧リスクを低減するため、加工食品を控え、減塩を心がける。
脂質の質と量を見直す
動物性脂肪の摂取を抑え、魚や植物性の良質な脂質を積極的に選ぶ。
食物繊維を摂取する
血糖値の急激な上昇を防ぐために、野菜・豆類・全粒穀物を食事に取り入れる。
食事リズムを整える
食事の時間を規則正しく保ち、遅い時間帯の食事を避けるよう工夫する。

日常に取り入れたい運動習慣

有酸素運動
ウォーキング・ジョギング・サイクリングなど、酸素を多く取り込む運動を毎日20~30分を目安に継続することが効果的。
筋力トレーニング
スクワット・腕立て伏せ・ダンベル運動など筋肉に負荷をかけるトレーニングを、週2~3回・1日おきに取り組むことが推奨される。